基本戦略2(長期ビジョンに基づくマイルストンの設定)

これまでの情報基盤システムの整備の実績を基礎に、情報環境マスタープランの第二期(平成22年度〜平成27年度)における目標および計画と、第三期目(平成28年度〜平成33年度)の概要目標を設定する。

実績と現状

これまで、コンピューティングサービスを提供する傍ら、キャンパスネットワークNICE(有線・無線)の整備、名古屋大学IDの発行に基づく認証基盤の整備、セキュリティ対策の充実、名古屋大学ポータルシステムの整備、統合サーバおよびメールサービスの提供などを進めてきた。そして、オンライン学習支援環境であるNUCT,オンラインストレージサービスであるNUSS、研究に必須なソフトウエアのサイトライセンスの導入、大規模計算から大規模可視化まで可能なシステムの導入など情報環境の整備を継続的に進めてきた。また、情報セキュリティポリシー、ガイドラインの更新に加え、情報セキュリティ研修、情報セキュリティ自己点検、無線LANアクセスポイント調査など情報セキュリティコンプライアンスに関わる諸施策を遂行すると共に、ソフトウエア資産管理システムの導入など、大学経営の観点からコンプライアンスを高める施策を検討し、一部は実行に移してきた。

第一期マイルストン「教育研究の可視化と高度化」(2016〜2021年度)

第二期目標によってもたらされる情報環境に基づき、学内各運営組織に関わる意志決定支援の充実を図り、「大学経営の可視化と高度化」を支援する情報環境の整備を目標とする。「モバイルファースト」「学際研究」時代を踏まえた情報環境を整備する。計画の概要を、評価項目ごとに目標を策定する。基本戦略(3)「実施体制・人材育成」の施策を計画・実施する。また、セキュリティをさらに高度化し、コンプライアンス(法令遵守)の実践・充実により安全性を一層高めることを目指す。さらに、基幹系システムの高可用率の実現、CO2削減や省エネルギーのマイルストンを長期的目標として設定し、情報環境のさらなる水準の向上を目指す。(整備計画の詳細を付録に示す。)「世界の誰もが活動の場として選びたくなるキャンパス」に必要な情報環境基盤の整備を開始する。以下、主なマイルストンを

主なマイルストン

(1)学内情報資産の可視化と高度化

教育研究に関わる情報を可視化できる情報基盤を整備し、教育研究に活用できる仕組みを実現する。学生の多様化に対応した教育支援をできるe-learningシステム導入、学内における研究活動を可視化できるシステムなどを整備する。また、学内文書の国際化を促進する情報基盤を整備する。

(2)学内コミュニケーションの可視化と高度化

イノベーションの創出に欠くことのできない融合研究を加速させるために、学内外の空間を超えたコミュニケーションを可能とする情報基盤を整備する。分野横断的で独創的な研究を支援する情報基盤を整備する。

(3)「モバイルファースト」時代の情報環境と可視化

携帯型デバイスなど学生を取り巻く情報環境に即した先進的な情報環境ならびにメディア教育システムを整備する。電子教科書・電子教材など新しい学習環境整備の準備を行う。多様な学生に対するきめ細かな支援を情報環境の側面から支える。

(4)学際研究を加速させる情報環境の高度化

次期スパコン、大規模可視化、次期NICEなど学際研究を行う上で必須となる、大型情報基盤の整備を行う。産学官連携を含む多様な連携によるイノベーションへの貢献と社会的価値の創出のためにこれらの大型情報基盤を利用できる仕組みを整備する。

第四期マイルストン「国際基幹大学としての名古屋大学を支える情報基盤展開」(2022〜2027年度)

大きく変わる大学組織、多様化する学生、国際社会における基幹大学としての名古屋大学など支援する情報環境の整備を進める。どこからでも教育研究環境にアクセスできるなど情報環境アクセシビリティを保証すると共に、教育研究業務支援・経営支援に資する情報分析・閲覧サービスの開発と導入を行う。今期においても、計画の概要を評価項目ごとに目標を策定する。利便性、安全性、信頼性を兼ね備えた先進的な情報環境を整備することで、国際基幹大学としての教育研究を支える。

主なマイルストン

(1)名古屋大学の国際展開を支える情報環境基盤

学生を含む名古屋大学構成員の活躍の場はキャンパス内にとどまらず世界中にまたがる。このような状況下においても利便性、安全性、信頼性を担保しながら大学内への情報環境へのアクセスを保証する情報基盤を整備する。

(2)組織間を有機的に連携させる情報環境基盤展開

イノベーションを生み出し続ける大学として組織間を有機的に連携し、教育研究を加速する情報環境基盤を整備する。名古屋大学における大きな組織再編を踏まえて、これらの新しい組織とそれらの間の連携を可能とする情報環境基盤整備を行う。産学官連携教育研究など学外組織も含む連携を利便性、安全性、信頼性を担保しながら実現する情報環境基盤を整備する。

(3)電子教科書・電子教材の大規模展開 教育の電子化を進め、多様化する学生に対応した先進的情報教育基盤を導入する。

(4)国際基幹大学としての研究を支える高度計算基盤 国内外の研究組織とも連携しながら、次々世代スーパーコンピュータ、最先端の研究を支えるデータセンター基盤と可視化基盤などを整備する

評価

マスタープランは、期末ごとに利便性、安全性および信頼性の評価軸により達成度を評価し必要に応じて改訂する。また、情報技術の進展は早いため、おおよそ3年ごとに自己評価を行い、各期目標と計画の微調整を行う。